Primula darialica

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学 名 Primula darialica
プリムラ ダリアリカ
科 名 サクラソウ科 Primulaceae
属 名 プリムラ(サクラソウ)属 Primula
分 類 多年草
大きさ H8cm x S8cm ~
撮影日 2006-04-08
American Primrose Society から、種子交換で配布されたタネより開花した。このアメリカプリムローズ協会の海外会員は、タネを提供していなくとも、無料で25種類まで配布を受けることができる。プリムラ属のほかにもアンドロサケやキクラメンなどのサクラソウ科も、少しだがリストにある。

中国、中央アジア、コーカサス山脈の高山に分布する小型種。ロゼットの中央より、3-5本の花茎を出し、茎頂に数花がかたまって咲く。洋紅色からローズ色。湿性岩場や渓流沿い300-2800メートル。(PRIMULA他から引用)

下の5枚の写真は2004年にいただいた苗から。丈3センチほどで開花してしまった。葉には粉がたくさん付き、シルバーリーフに見える。しかし、上の写真4枚のAPS実生株とは、違う品種のようにも見える。APSの方は目が黄色で比較的はっきり(幅が広い)している。しかし、下の株では目は白で幅は狭く、ほとんど喉の黄色の方が目立つ。

PRIMULA : John Richards 著によると、以下のような亜種がある。
Primula darialica subsp. daraliaca

   花径10ミリ以上、萼は5ミリ、葉は8×3センチで、Daryal峡谷、Kasbek山
   北中央コーカサスの300-900メートル。
Primula darialica subsp. farinifolia (var. farinifolia)

   花径3-6ミリ、萼は3ミリ、葉は13×3センチ、しばしば基本種より粉が多い。

プリムラの粉について 「ヒマラヤ植物大図鑑」より抜粋
サクラソウの芽や若い株では、空気を出し入れする気孔が密に分布する鱗片葉や若葉の裏面に、黄色や白色の粉が厚くつく。粉は水をはじくので、葉裏は空気の薄い層に包まれる。だから初夏の頃に雪解けや降雪、長雨で水浸しになり、ふくらみかけたサクラソウの芽が冷たい水の中に完全に没しても、気孔から微量の空気を出し入れして呼吸を維持し、生長することが可能になる。

と言うことで、ヒマラヤのプリムラにつく粉は、株が水没しても窒息しないように気孔を保護する役割がある。水辺を好むプリムラならではの役割で、他地域のプリムラでも粉の役割は同じようなものだろう。要するに寒冷地仕様だ。このヒマラヤでは冬から春にかけて、多量の雪が吹き溜まる高山帯のテラス状台地にサクラソウが多く自生するそうで、それらは初夏に雪の覆いが消えた後も、夜には気温が急降下したときに、芽の中に縮こまる葉や花蕾が凍結することが無いよう、越冬芽(写真一番下)が質の厚い卵形の鱗片葉にタマネギのように包まれているそうである。

プリムラの粉は、ポリアンサスやジュリアンハイブリッドなどの園芸種にはなくて、高山性の原種に多いので、たぶん寒さから保護するためではないかと思っていた。寒さだけではなく、このように水没からくる窒息の危機をも免れる粉の役割はとても重要だ。それにしても、時期を変えて何度も観察に行く研究者もすごいものだ。

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