Cowichan primulas (カウチンプリムラ)について
これら、カウチンプリムラと称されるプリムラのタネは、プリムラ属の育種生産販売で名を馳せる
バーンヘイブン Barnhaven primroses (FR) や、園芸植物の中でも比較的希少珍奇なレア物を多く扱っている
プランツオブディスティンクション Plants of Distinction (UK) で購入した。
その後、いろいろ調べても図鑑というものにはこのカウチンプリムラについての記述は全くない。
しかし、WEBサイトではカウチンプリムラの由来について記述しているサイトがあったので、
ここではその記述をもとに備忘録として記す。
Cowichan Primulas カウチンプリムラとは、1930年代にカナダのバンクーバー島カウチンバレーに自生する
プリムラから発見された系統で、花びらはベルベットの質感を持ち、
大きな黄色い目の代わりに小さな褐色のシミ様のものがある(伝統的に"黄色の目が無い"と言い表す)のが特徴である。
葉は常緑だが、春以降に暗紫色を帯びてくる。
そして、現在でもカウチンプリムラとして販売流通はされているが、プリムラの専門書籍である
洋書 PRIMULA (John Richards著)や、世界のプリムラ(世界のプリムラ編集委員会編)には、
カウチンプリムラをポリアンタの中の一系統として記述する箇所はなく、世界のプリムラの中に
バーンヘイブン・ヴェネチアン・コウイチャン・ポリアンサス Barnhaven Venetian Cowichan Polyanthus の写真が
掲載されているのみである。
また Cowichan の読み方についてだが、日本では先住民族によるカウチンセーター Cowichan sweater が有名であり、
カウチンと読むことが一般的であると考えたため、あえてカウチンプリムラと日本語表記したが、
英語では [koʊ.ɪtʃən] と発音し、日本語で書き表すと
コウイチャンとなるか。
以下は誠文堂新光社刊【世界のプリムラ】世界のプリムラ編集委員会編からの引用
【世界のプリムラ】 -原種・さくらそう・オーリキュラ・ポリアンサス- 世界のプリムラ編集委員会編より
ポリアンタ Primula x polyantha の生い立ち
ヴェリスとブルガリスの雑種はトムマッシニー Primula x tommassinii と命名されたが、園芸的には「ポリアンサス」"Polyanthus" primulas と呼ばれていた。さらにエラチオールが交配種の親に加わってからもポリアンサス、あるいはポリアンタ Primula x polyantha と呼ばれて現在に至っている。
大規模生産品目のひとつに含まれるまでに成長し、わが国では単にポリアンとも呼ばれる園芸種の代表的植物であるポリアンサスは、ヴェリス、エラチオ-ル、ブルガリスの3種を繰り返し交配した結果生まれた。
ヴェリス:Primula veris 英名:Cowslip
ノルウェーからアイルランド、スペインの南東部、ギリシア北部、トルコ、コーカサスからイランを経てシベリアまで広く分布する。高さ20cm、株張り20cm以上の大きさで、中心がオレンジで香りのよい黄色い花がうつむいて咲く。日向でも反日陰でも育てられる強健さがある。3000m以下に植生。
エラチオール:Primula elatior 英名:Oxlip
南部スウェーデン、イングランド東部、スペイン中部、ウクライナ東部、トルコ東部、北部イラン、アルタイ山地からシベリアまで分布。高さ20cm、株張り20cm程度で、薄い黄色の花はヴェリスより上向いて咲く。湿って日当たりが良ければどこででも育てられる強健さがある種。古くはヴェリスの亜種とされた分類もあった。4000m以下に植生。
ヴルガリス:Primula vulgaris 英名:Primrose
中国名:欧州報春。南部ノルウェー、デンマーク、イギリス、フランス北部、イタリア、ユーゴスラビア、ギリシア、トルコ北部と南西部、ウクライナ、クリミア、コーカサス、カスピ海南岸地方などに多く分布している。本種の旧種名に Primula acaulis があることから本種の草型をアコーリス・タイプと呼び、抽出茎がなく花柄だけで半球形に咲く姿に特徴がある。花は主に黄色でオレンジ色あるいは濃黄色もあり、上を向いて咲く。大輪性や強健性を表現するのに大きく貢献した種。高さ15cmどまりで大株では株張りは30cmにもなるという。1500m以下に植生。
ユリエ:Primula juliae
コーカサス東部からアゼルバイジャンに分布。濃紫桃色の花を咲かせる小型種で、高さは10cmどまりで株張りも最大で15cm程度。Primula vulgaris と Primula juliae の交雑種はプルホニキアナ Primula x pruhoniciana またはユリアナ Primula x Juliana あるいはユリアナ・ハイブリッド Juliana Hybrid としていくつかの品種があったが、パシフィック・ジャイアントの出現以降に再交配されることで能力を発揮し、色の表現拡大や姿の多様性を表現するために多大な影響をおよぼしている重要な原種。700-1800mに植生。
ジャック・イン・ザ・グリーン系統周辺の育種
‘ジャック・イン・ザ・グリーン’ Jack-in-the-green は、16世紀に生まれたとされる古い品種で欧米の一部ではかなりこだわった園芸マニアがこの系統を維持している。もともと一重の花だけであったと思われるが、今では八重咲きのアコーリス・タイプ(無茎)とポリアンタ・タイプ(有茎)があり相当に雑駁といえるが、ユニークな花色表現を固めて植え付ける事が多い花壇では良く特性が発揮できるので今も残っている。
‘ホーズ・イン・ホーズ’ Hose-in-hose primroses は、花筒が二段に重なったタイプで、ポリアンサスだけに表現される形質ではないが、この系統で特に有名な呼び名となっている。ジャック・イン・ザ・グリーン系統で花の重ねの少ない品種との区別性も難しいが、ホーズ・イン・ホーズ系は香りがよいとされている。