昨日は久しぶりに、以前NHKのBSで録画しておいた映画「初恋の来た道」を観た。中米合作で、原題は「我的父親母親」、洋題は「The Road Home」、邦題が「初恋の来た道」だ。原題を直訳すれば「私の父親と母親のこと」、とでもなるのか。映画を観れば邦題のほうが断然すばらしい。よくこんな良い題名を考えたものだ。そしてその内容も、思った以上に乾いた私の心にしみわたり、ほんわかと潤してくれた。
物語の背景は文革後の中国。文革=文化大革命(ぶんかだいかくめい)とは、中華人民共和国で1960年代後半から1970年代前半まで続いた政治・社会・思想・文化の全般にわたる改革運動、ということだ。だから私自身の子ども・青春時代とシンクロしていたということになる。とある村に若い男の先生がやってきて、村の娘がその先生に恋をするという話で、それがこの物語の語り部である息子の両親のことなのだ。
村の娘役はあのチャン・ツィイーだった。とても溌剌として可愛いらしく、あのLOVERSという映画で、盲目の女役を演じた同じ女優さんとは思えない。(LOVERSは観ていないが、その宣伝番組を観た事がある) 日本のテレビでは、アジ○ンスというシャンプーのCMで有名な女優さんだ。
村に着任早々の20歳の彼に一目惚れした18歳の彼女は、一途に彼(後の夫)を想い続け、彼が公安に呼び出されてからは、村から町へと続く一本道を、その若者を待って何度も往復する。40年も昔だが、村では有名な恋だったそうだ。村の子ども達の教育に長年貢献した夫の死後は、村人に夫のお棺を担いでもらい、その村の一本道を夫の亡き骸とともに歩きたいというのが母の願いだった。若者は町へ働きに行き、年寄りと子どもしかいない村ではそう簡単にかなうことではない。しかし息子は、なんとか母の願いをかなえてやりたいと苦心する。そしてそのような態度からは、年老いた母への愛情がいっぱい感じられる。今の日本ではどうだろうか。
村の一本道はそばに白樺林があり、なだらかな丘があってすばらしい景色だった。農業風景などは映っていなかった。でもたぶん農業で暮らしているんだろう。私からすればそんな閉鎖的?な社会の中で40年間を夫とともに暮らし、その間子どもをもうけ、他になにか楽しみがあったのだろうかと思ってしまう。楽しみは家族とともに仲良く暮らすことだけで良いか。
初恋の来た道とは、あの1本道のことだね。この道を通って初恋(の人)が来た。そのときの瑞々しい気持ちをいつも忘れず持ち続けたことがすばらしい。便利なものや嗜好品のようなものは何もない時代だった。だからこそ、人を思う気持ちが強くなるのだろうか。衣食足りて礼節を知るというが、衣食が足りていなかった頃のほうが礼節を重んじていたような気もする。観終わって瑞々しい感動が残った。私ももっと夫や家族を大切にしなくちゃ。