山草会

山草会

昨日は東京山草会のスミレ・サクラソウ部会だった。この部はラン・ユリ(部会)とシダ(部会)に属さない全ての植物が範疇なので、大変はば広い。以前にも一度だけ参加したことがあるが、愛好家とかマニアってこういう人たちのことを言うんだ、と実感したものよ。

展示品には銘品珍品が並び、もちろん垂涎の的。司会者の方が1つずつ手に取り、その栽培者の方は用土や栽培環境、入手経緯などを発表する。皆さんすかさず、それぞれについて質問などをなさる。温度はどれくらい? 用土はどんなものを使ってる? 植替えは?・・・などなどあっという間に内容の濃い1時間ほどが過ぎた。

その後は毎回テーマに沿った講演などがあり、講師にはプロ並みの会員さんや外部講師のこともある。こういった会に所属して参加すること自体が初めてだったが、これで年間4千円の会費はすごく安いと思う。ただ、開始時間が平日午後6時からと、仕事帰りのかた向けの設定になっているのが、私には難点。毎回は参加できないけど、今回は「サクラソウ」についての講演があるとなっていたので参加した。

「サクラソウ」の大家はY氏と言う方。お話の流れから察するに、埼玉のご自宅で、350鉢(5号鉢)もの栽培をなさっているそうだ。用土の話から、芽分け植付け、殺菌剤の話、果てはサクラソウの栽培史から、品評会での基準などにも及び、とても充実していた。そしてスライドで、銘品の鑑賞も解説付きでさせていただくというおまけつき。ノウハウを全てご披露くださって、その上質問までにも快く答えてくださる。(私は質問していないけど)実にありがたかった。

このような愛好家の方は、儲け主義からではなく、あくまでも名誉だけが残ればよいとお考えか。あるいは単純に自分の好きなことをなさっているだけで、そのような名誉もお望みではないかもしれない。そして、このような栽培ノウハウを後世に遺しておきたいとも、ちらっと漏れ聞く。素晴らしい愛好家の方々にも、まったく無知な私にも、時間は公平に流れているのだ。顔を合わせばまず、訃報を連絡しあうという寂しさよ。しかしこういう方々の功績は末永く会員の中で語り継がれ、銘品も受け継がれるのだ。

・・・・続き
孫半斗鉢について
孫は子どもの半分の意か、半斗とは一斗の半分の意か、よって一斗の4分の1の大きさではないかと言う推理であったが、半斗の4分の1かもしれない。それなら18リットルの4分の1で約2リットルだからうなづける。昔は塩や味噌などの調味料を入れておく容器だったとかで、実際には底穴がない。だから、後から故意に開けて底穴を作った形跡が見られるという6号くらいの鉢であった。

サクラソウは江戸時代、武士の趣味として流行していたので、庶民としてはこういった日常的な雑器を鉢に代えて楽しんだのではないかとも推測されていた。今では現存するものが少ない貴重な鉢だということである。

私は実際に手にとって見させていただいたが、思ったより軽くて、釉薬がかかっていない部分は、素焼き鉢のように比較的大きな孔の多孔質に見えた。もとの用途は日常雑器だから、釉薬は内側全体にかけてあった。釉薬は信楽焼きかなにかのような鈍く光る茶色から鉄さび色にも見えた。

サクラソウ大家のY氏は、この孫半斗鉢に似せて、同じような鉢を注文して作ったと言うことであった。すごい!の一言。その鉢も順番に手にとって見せていただいたが、先の本物の孫半斗鉢よりはずっと重くなっていた。釉薬は、すり鉢や梅干の甕のような茶色のぴかぴか光った釉薬だった。益子焼きのようなというのか。

とにかくY氏の栽培場では、最盛期は素晴らしいものだろうと推測できる。あ、品評会などでお忙しくて、ご本人は鑑賞どころではないかも知れないけれど。^^;