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2005年7月4日 投稿者: seedsman

人の役に立つことを見つけなさい

人の役に立つことを見つけなさい
2005年7月4日 投稿者: seedsman

親が子どもに言う言葉のうち、最も多いのが「お手伝いはいいから、勉強しなさい」と、「好きなことを見つけなさい、一生打ち込める好きなことを」である。確かに愛情から出た言葉であり、子どものために「良かれ」という思いは痛いほど分かる。

好きなことに打ち込んで、それで食べていかれれば、それに越したことはない。一生打ち込める好きなことが見つかり、それに邁進できれば、そんな幸せなことはない。しかし、こう言って育てると、多くの子どもがダメになるのだから恐ろしい。

そもそも、一生続けられる好きなことは、そんなに簡単に見つかるものではない。好きなことで能力があるという幸せな人は、滅多にいるものではない。高校生くらいまでに、一生をかけるほどに好きなことが見つかる人の方が少ないのである。故小此木啓吾氏がモラトリアム(猶予期間)人間という言葉を言い始めてから半世紀が経つが、モラトリアム人間はますます多くなり、その期間はますます長くなっている。最近は大人になりたくない「永遠の少年」タイプも増えているが、大人になるということは、「好き」でないことも我慢してやれるようになることである。

たいていの人は、偶然や仕方ない事情で職業を選択し、それが一生の天職となる場合の方が多い。「好き」でなくても、やらなければならないことはきちんとやる、という躾も大切である。好きなことが見つからないのに「一生打ち込める好きなことをみつけなさい」といわれると、たいてい自信を喪失し劣等感を持つ。そればかり言われると、にっちもさっちも行かなくなり、引きこもりへと追い詰められてしまう場合もある。

「好きなことを見つけなさい」は、自分の事だけ考えなさいと言っているに等しい。その上、普通に生きることに価値がなく、何か特別な生き方だけに価値があるという考えも、背後にあるような気がする。子どもに自信をつけたかったら、「好きなことを見つけなさい」ではなく、「人の役に立つことを見つけなさい」と言うべきである。人の役に立つためだったら、少々の能力で充分である。天賦の才など必要ない。人並みの体力と知力があれば、簡単に人の役に立つことが出来る。もし何か人より優れた能力を持っていて、それを人のために役立てれば、なおさら良い。

人の役に立てば、人から喜ばれ、感謝され、好かれ、評価される。本人も気持ちよくなり、自信も出てくる。人柄もよくなり、積極的に社会に出て行くようになる。一生続けられる道も見つかるかもしれない。良い事ずくめである。子どもに自分の事ばかり考えさせるのではなく、社会とのつながりを意識させ、他人のおかげで生きていること、そして他人の役に立てる人間になることを考えさせるような教育を、親も学校も社会も心したいものである。

産経新聞 平成17年7月4日(月) 教育欄から 「解答乱麻」より
記事著者 林道義 (元東京女子大教授) 選考は深層心理学。著書に『母性の復権』『不正の復権』『家族の復権』の3部作ほか、『主婦の復権』『フェミニズムの害毒』『家族破壊』など多数。

上記の文は、今朝の新聞のコラムから全文をコピーさせてもらいました。私自身は子育てほぼ終了といったところだが、自分自身が「一生打ち込める好きなこと」など見つけられなかったので、この先生のコラムに出合ってなんだかホッとした。自分が普段おぼろげに考えていることを、このように分かりやすい言葉で明示してくれるエライ先生はさすがだね~。私のような普通の人間が言葉で言い表せないもやもやとした考えを、はっきり示してくださる。(*^^)v

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