カウチンプリムラ

越冬苗の様子が気になる毎日だが、今日ははっきりサクラソウの芽が確認できた。根腐れありとなっていた‘標野行’も無事に芽が出ている。多分大丈夫だろう。この柔らかい黄緑の芽が、ちゃんと春を感じていることに驚かされる。まだまだ寒いと思ったけど春はもうすぐだね。

気になっているのはサクラソウばかりじゃない。みんな気になるけど、地上部が消えているものが一番心配なの。タツタソウの土をちょっといじって中心部をさぐると、あったあった!小さな新芽が。良かったぁ、ダメになっていなかったよ♪ 同じようにしてさぐってみたのがタリクトルム=カラマツソウ属だ。これも中心部にはちっちゃな新芽が出ていた。

同じく越冬中のプリムラ・ベリス(3年生)は12号位のコンテナに寄せ植えしてあるが、古葉を綺麗に取り除いてみると、中心部に株が無くて、コンテナの外側にぐるりと詰まっている。やっぱり新しい土を求めて外側に芽が伸びるんだ。小さな芽をこじ開けてみると、中心部には小さな蕾がいっぱい見える。このコンテナは軽石などが中心だから、さして大きくならないはず。小さい株に、花をしっかりつけてくれると嬉しいね。

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大きな期待をもっていたカウチンプリムラ↑が、一輪だけど今日やっと開いた。「黄色の目無し」といわれるプリムラだが、良く見ると実際には極く小さい目がある。「目」とは花びらの中心部にある色変わりした部分。ほとんどが黄色だと思う。花弁が合着して1つになっている合弁花だから、「目」と呼ぶのもわかる気がする。オーリキュラなどは色々な目の色があるけど、ポリアンサスやジュリアンなどの改良系はたいてい黄色の「目」をしている。

この黄色の「目」がすごく小さく、ほとんど「目」には見えない。また花びらの質感はベルベット調とでも言おうか、花びらが曲がって波うち、陰影が出るが、陰になる部分は色が濃く見えてとってもステキだ。この‘カウチンベネチアンレッド’は、種苗会社では Primula Cowichan ‘Venetian Red’ と学名が書かれているけど、Cowichan という種小名はない。これは通称名だ。現在ではポリアンサスの一種という見解で一致している。だから学名は、Primula x polyantha ‘(Cowichan) Venetian Red’ とでもするのが良いかも。

Cowichan primula とは、1930年代にカナダのバンクーバー島カウチンバレーに自生するプリムラから発見(選抜)された系統で、花びらはベルベットの質感を持ち、大きな黄色い目がなく、小さな黄色いシミが中心にあるのが特徴。そしてこれを「黄色の目無し」、と言うのが長年の伝統。また、葉は冬中枯れずに、春には緑でもその後、季節の流れと共に暗紫色を帯びる。