プリムラの粉

昨日図書館へ行ったら、「ヒマラヤ植物大図鑑」というカラー図鑑があったのでパラパラとめくってみていた。プリムラのところにきたら、あるある、珍しいものがね。すばらしい景色の中にプリムラの群落が広がっている。この目で直に見てみたいけど、到底むりだよ。写真で我慢ね。解説の中にプリムラの粉について書かれていた部分があったので抜粋してみた。

サクラソウの芽や若い株では、空気を出し入れする気孔が密に分布する鱗片葉や若葉の裏面に、黄色や白色の粉が厚くつく。粉は水をはじくので、葉裏は空気の薄い層に包まれる。だから初夏の頃に雪解けや降雪、長雨で水浸しになり、ふくらみかけたサクラソウの芽が冷たい水の中に完全に没しても、気孔から微量の空気を出し入れして呼吸を維持し、生長することが可能になる。

DSCN2713.jpgと言うことで、ヒマラヤのプリムラにつく粉は、気孔を保護する役割があるということがわかった。自然のしくみとは本当にすごいものだ。プリムラの粉は高山性のものに多いので、たぶん寒さから保護するためではないかと思っていたが他のプリムラについてはよくわからない。他には葉の表面やガク、茎、花弁などにも粉がつくプリムラもある。

このヒマラヤでは、冬から春にかけて多量の雪が吹き溜まる高山帯のテラス状台地に、サクラソウが多く自生するそうだ。それは初夏に雪の覆いが消えた後も、夜には気温が急降下したときに、芽の中に縮こまる葉や花蕾が凍結することが無いよう、越冬芽が質の厚い卵形の鱗片葉にタマネギのように包まれているとか。時期を変えて何度も観察に行く研究者もすごいものだ。(画像は Jasione)