植物検疫

自分はずいぶん前から外国のタネを個人輸入しているけど、ぶっちゃけ、植物検疫って受けたことは無かった。海外旅行から帰ってきたときに持ち込む切り花は、検疫を受けたことがあるけどね。T&Mのアフィリエイトの看板があるから、「何も知らない」ってわけにもいかなくて、この植物検疫をどうしようか随分前から悩んでいたのよ。

植物検疫に関連する法律は「植物防疫法」というのがあり、その第一条に法律の目的が明記されている。

植物防疫法 第一条 
この法律は、輸出入植物及び国内植物を検疫し、並びに植物に有害な動植物を駆除し、及びそのまん延を防止し、もつて農業生産の安全及び助長を図ることを目的とする。

分からない言葉は一つも無い。その必要性も十分理解できるけど、検疫を受けるのって手続きが難しいんじゃないかなとか、日数がかかりすぎて、タネ蒔き時期に間に合わなくなったりしないだろうか、と思っていた。まったくわからないから、とにかく訊いてみなくちゃ。(-_-;) そこで農林水産省植物防疫所のホームページから、フォームメールを送信した。返事を希望する場合は住所氏名も入れなきゃならない。いいよ、別に。知られて困ることじゃないんだからさ。(^.^)

私の質問の主旨

    趣味の園芸のために、インターネットで海外のタネを購入したいが、植物防疫法第六条第一項にある「輸出国政府発行の検疫証明書」がない場合は、営利目的でない場合でも、輸入できないのか?

農林水産省 横浜植物防疫所東京支所千葉出張所の回答

    厳密に言えば「輸出国政府発行の検疫証明書」を添付しなければ輸入できないわけではない。非商業用の個人輸入に限り、輸出国の「植物検疫証明書」の取得が困難な場合は、「輸出国政府発行の検疫証明書」がなくても、輸入時の検疫に合格すれば輸入できる

国際郵便物として非商業用に個人輸入する際、その外装には税関票符を貼り、内容品の明細欄に「草花の種子」と記載するよう輸出先に伝えること。(輸入しようとする植物のタネを、信書として送ってもらう事はいけない)

税関票符に内容品明細の記載が無い場合、植物検疫未検疫で配達される可能性がある。その場合、植物検疫は実施されていないので、輸入者は植物到着後、最寄の植物防疫所で植物検疫を受ける必要がある。(植物検疫済みの場合は、外装に植物検査合格証印の押印があるので、それがない場合は「未検疫」である)

以上のような内容だったが、まずは、ご回答くださって本当にありがと。< (_ _)> だけど税関票符ってなに?と思い、検索してみると、郵政公社ホームページ 国際郵便物の基本的なことについてのページで、わかりやすい解説があった。

税関票符と税関告知書は、税関に対して国際郵便物の内容品を通知するためのものであり、信書以外のすべての郵便物にどちらかを添付しなければいけないとのこと。あら、そうだったかしら。^^;外国の友人に荷物を送ったことがあるけど、そんなの書いたかな~?と、ちっとも思い出せない。デパートに配送を任せたからかな。(~_~;)

  • 税関票符(CN22)=グリーンラベル=Green Label は、内容物が300SDR≒48,135円以下の時使用。
  • 税関告知書(CN23)は、内容物が300SDR超の場合に使用。(300SDR以下でも差出人が選択すれば使用することが出来る)
  • これらは国際規格であり、万国郵便条約に批准した主要国であれば、様式は同じである。(と思う。未確認です。)各国通貨との換算レートは毎年1月1日に更新される。
  • ジェトロのホームページにも個人輸入情報の記述があったから読んでみると良いよ。ここには税関票符などのことは出ていなかったけど、個人輸入について詳しく書いてあるほか、英文サンプルもあるから便利かも。

    私は植物のタネを、1回に数千円から1万円位を個人輸入するので、その場合輸出者に添付してもらうのは税関票符(グリーンラベル)ということになる。今度からオンライン注文する際には、郵便物の外装にグリーンラベルを貼付し内容品明細欄に「植物種子」と記載するように依頼しようと思う。そうすればほとんどの場合時間もかからず、無事に植物検疫がなされるそうだ。

    問題は、このグリーンラベルを貼付するよう頼んだとしても、輸出者側でそれを拒否したり、忘れられたりする場合である。そのような場合、検疫をスルーして自宅に配達されるが、最寄の植物防疫所に電話して、「未検疫で配達されてしまったので検査してもらいたい」と連絡してから、そのタネを最寄の植物防疫所に送付すれば、到着次第すぐに検査してくれるそうだ。時間はほとんどかからず費用もかからない。その上、何の書類も必要ないとのこと。また、自宅には無料で返送してくれるそうである。(電話回答)

    繰り返すが、これは非商業用の植物を個人輸入する場合に限ってである。商業用なら原則として輸出国政府発行の検疫証明書が必要だし、輸出国で検疫を受けていなければ日本でするわけだから、未開封のまま検疫所に送付しなければならない。それが非商業用の場合なら、受け取った郵便物を開封して中身を確認し、書類などは取り出し、タネを送付するだけで、ちゃんと検査してもらえるそうである。(電話回答)

    このことは輸入に限った事ではなく、外国の知人からタネを譲ってもらったという場合にも同様だろう。事前に送ってくれるのがわかっていれば、信書としてではなく、あらかじめグリーンラベルを貼ってもらい、草花の種子であることを明記してもらえば良いわけだ。日本ではグリーンラベル(税関告知書も)は郵便局に備え付けてあり無料でもらえる。だから多分外国でも同様だろう。相手の方には、外国郵便物を出す際に窓口で Green Label (CN22) をもらって、自分で内容品明細欄に “Seed” と記入し、その国際郵便物に貼付してもらうだけである。簡単なので是非やってもらおう。日本から国際郵便物を送る場合は、大阪郵便局 税関告知書の記載方法 のページにその例が詳しく書かれている。ここにあるCN22という様式のラベルが日本のグリーンラベルである。外国でも同じ様式のはず。

    なお球根を輸入する場合、100球未満なら非商業用の個人輸入とみなされるが、100球以上の球根と、種苗業者による種子及び栽植用植物(個人輸入を含む)、果樹類の輸入は全て商業用とみなされ、植物防疫法第6条(輸入の制限)第1項が適用されるのでご注意を。

    その他わからないことがあったら、最寄の植物防疫所に電話やメールで問い合わせると、親切に回答してくれます。くれると思います。(^.^)

    また、園芸用草花の種子は関税は無税である。実行関税率表(2004年版)から、 第2部 植物性生産品 第12類 の「採油用の種及び果実、各種の種及び果実、工業用又は医薬用の植物並びにわら及び飼料用植物」の税率をクリックすると、「園芸草花の種=無税」と確認できる。

    その他に植物に関連する法律では、あへん法と麻薬及び向精神薬取締法がある。これらの法律により、日本で栽培禁止の植物名を列記する。

    1. パパヴェル ソムニフェルム Papaver somniferum
    2. パパヴェル セティゲルム Papaver setigerum
    3. パパヴェル パエオニフロールム Papaver paeoniflorum = Papaver somniferum var. paeoniflorum
    4. エリスロキシロン コカ Erythroxylum coca
    (コカ/コカノキ)
    5. エリスロキシロン ノヴォグラナテンセ
    Erythroxylum novogranatense (ナガバコカノキ)
    6. パパヴェル ブラクテアツム Papaver bracteatum
    (ハカマオニゲシ)

    植物防疫所へ送付したタネが戻ってきた様子はこちらのページをご覧ください。