皿ヶ嶺の風穴で青いケシ

東京山草会の会誌「やまくさ」55号が届いた。この内容はほとんどが会員の方々の寄稿文である。今回その中では珍しく、青ケシの花の写真がカラーで掲載されていた。その寄稿文を読んでいくうち、あっと驚かされた。

以前にもこのブログに書いたけど、私が今回いただいた東京山草会からのタネの中に、メコノプシス・ベトニキフォリアがあった。これをおそらく自宅で開花させている方がいらっしゃり、それをタネ交換会に提供してくださっているということにそのときは驚いた。採取したばかりの新鮮なタネなら発芽率も良好だろうし、何しろ日本の気候風土で栽培されていたんだから、私にも少しはチャンスがあるかも、と思ったりもした。

今回の寄稿文の何に驚いたかと言えば、その栽培場所である。その青ケシのタネは、皿ヶ嶺山草会という会に所属されているT氏提供のものだった。近年では日本国内の山草会のネットワーク化が進み、栽培方法などの情報交換やタネの交換も行われるようになっているのだ。

皿ヶ嶺とは標高1271メートルで、石鎚山と並び賞される四国の秀峰だそうである。その近辺にお住まいのT氏を始めとする会員の方たちで、皿ヶ嶺の980メートル付近の風穴を利用して、青ケシを栽培してらっしゃるということがわかり、びっくりしたのだ。

その風穴は980メートルにあり、安山岩の崖垂堆積物の岩片が1.5-3メートルくらいの大岩の堆積したところで、土に覆われていない幅30メートル、岩にコケがつき、落葉樹の疎林のなか、岩の隙間より冷風が噴き出してくる。メコノプシス・ベトニキフォリアの栽培場は2-3メートル掘り下げた区画で、その穴から次々と霧が湧き出して、山の斜面を降りてゆく。そんな環境だそうである。

その風穴から夏は冷たい風が、冬は栽培場の最低気温よりも高い風が流れ出るそうだ。実際に計測された「風穴の温度変化グラフ」が添付されていて、素晴らしいデータである。あのヒマラヤの環境にも匹敵する好環境なのだろう。毎年開花して、充実した株の育成に役立っているそうだ。

そうそう、肝心な青ケシはその風穴で、発泡スチロールのトロ箱というのだろうか、あれに植え付けられている画像がある。全体を写したら風情はないが、花だけ撮ればすごいじゃない! こんなトロ箱がいくつも並べられて栽培されているとは知らなかった。発泡スチロールは確かに断熱効果が高いのでいいらしい。

気難しいプリムラたちも、素焼きのような3-4号の鉢に植えたものを、いくつかトロ箱に入れて、空隙には軽石のようなものを詰めてあるのをAPS(アメリカプリムラ協会)の冊子で見かけた。私もこの夏はこれにトライしようと思っていたんだよ。高山性の原種プリムラ、どこまで育てられるかやってみるしかない。さぁ、トロ箱集めをしなきゃ♪^^;


Comments

“皿ヶ嶺の風穴で青いケシ” への4件のフィードバック

  1. 皿ヶ嶺の青ケシを栽培されていたのは皿ヶ嶺山草会の方だったんですね。
    この皿ヶ嶺には2002年の秋からもう5度ぐらい登っているんですよ。そして最初にこの山に登ろうと思ったきっかけが、この風穴の青ケシだったんです。インターネットで調べたら、四国内の手軽に登れてしかも植生の豊富な山・・それが皿ヶ嶺でした。しかも青ケシが栽培されているとあっては、青花好きとしては行くっきゃないでしょう、ってもんです。
    9月でしたけど、まだ青ケシが咲き残ってて、それが青ケシの実物との初対面でした。
    http://www.photohighway.co.jp/AlbumPage.asp?un=64406&key=1345930&m=0
    翌年の6月には青花好きのネット花友達とのオフ会でみんなをこの皿ヶ嶺に案内したんですが、皆さんトロ箱に植わっているのにえらく驚いてましたっけ(^^;)
    この風穴、真夏に訪れても50mほど下に来ると冷気が流れてきて、しばらくいると寒いほどですよ。
    青ケシだけでなく、シコクカッコソウ、サイゴクサバノオ、シロバナエンレイソウなど、様々な山の花も咲き、ブナも楽しめるいい山です。私も3月末には登る予定にしています。

  2. primroseのアバター
    primrose

    やっぱりkeitannさんも登ってらしたんですね。アルバム拝見しました。写真もよく撮れていて、花もいいけど紅葉の季節も良いですね。この山に何回も登っているなんて、うらやましいわ。アルバムの何枚目かにあった下山道らしき写真をみたら、やっぱり普通のスニーカーじゃ無理ですね。「ハイキングの延長で」なんて、言ってらっしゃるけど、それなりの装備がないと恐ろしいです。(*^^)v

    この前行った箱根でも、「箱根旧街道の石畳」というのを少し歩いてみたかったんですが、ネットで検索すると、普通の靴じゃ無理で、トレッキングシューズが必要と書いてあったので諦めたんです。観光本にもよく掲載されているけど、そこまでは知らなかったのです。石畳のアップの写真があったけど、確かにこの道をスニーカーでは、10分だって歩くのは大変だろうと思いました。下調べは十分しないといけませんね。(~_~;)

    アルバムで見た青ケシですが、だいぶ大きそうですね。花は確かにケシだけど、葉っぱだけ見たんじゃわからなかったと思います。これらがいたずらにあわないと良いですね。今回このブログに、地名を書くのもどうしようかと思ったんですが、検索するとこの皿ヶ嶺の青ケシを紹介しているところもあったので、地元では有名なんだろうと思いました。立ち入り禁止区域のような場所で栽培されているんでしょうか。

  3. primroseさん、こんばんは。
    山でなくとも少し歩くときはそれなりの靴が歩きやすくていいですね。
    私はここ二年ほどは常にウォーキングシューズを履いています。そして車にはいつも山靴を積んでいます。ですから、車で走っているときも
    ちょっと気が向いたらすぐに山や林の中を歩くことが出来ますよ。
    登山靴までもいかないでもトレッキングシューズを一つ持っていると便利ですよ。

    皿ヶ嶺でこのとき私が歩いたルートはちょっと歩きにくいルートを歩いたのです。
    もっと歩きやすい整備されたルートも勿論あって、5月ごろに松山市内の小学生たちが集団で登ってるのにも出くわしましたよ。
    青ケシは風穴付近の2mほど低くなった場所にあって、ここには鉄製の梯子を下っていかねばなりません。
    いたずらをする人なんてまずいないと思いますよ。心配なのはそれよりもササユリやシコクカッコソウの盗掘でしょうね。

    今日はブログにも書きましたが、県内のユキワリイチゲの自生を見てきました。
    温泉のすぐ近くの遊歩道に咲いているのですが、誰も関心がないようでした。(^^;)
    きれいな花なんですけど、まだあまり知られてないようです。
    四国には花の自生地がたくさんあるんですが、人口が少ないのでまだまだひっそりと咲いているところが多くて。それが魅力なんですよ。

  4. primroseのアバター
    primrose

    いたずらする人がいなくて良かった。こちらでは住宅地でも、綺麗に咲きそろったハンギングバスケットを盗まれたり、庭先の盆栽を盗まれたりすると聞きます。嘆かわしいですね。(-_-;) 山や花を愛する人に悪い人はいなくて良かった~。

    ユキワリイチゲ、ステキですよね~。キンポウゲ科でしょ。検索しました。実物を見たことがないから、イチリンソウとかニリンソウなどと似ていますか? 佐原の鹿島神宮の中にもイチリンソウかニリンソウの群生地があるんですが、神様の領分なのでずかずか入って写真を撮れないし、そばに行って観察するにも勘違いされたら嫌なので、遠くから見ているだけでしたよ。その点、登山の道すがらというのは良いですね。みんなの物だもの、そばに近寄って見られますね。

    登山靴とトレッキングシューズとは違うんだ・・・・知らなかったです。^^; 登山靴を英語でトレッキングシューズと言うんだと思ってたわ。