阿波一国参り その16 焼山寺宿坊からペンションやすらぎまで

4月22日、歩き遍路5日目。下は前日の夕方、宿坊の虚空蔵庵から見た前山の景色。周りには何もない、ここは修行にふさわしい険しい山の上だ。今日からSとも別れて一人旅、約16キロを歩く予定。焼山寺を7時半に出発。焼山寺~杖杉庵~鍋岩~玉ヶ峠~阿川~広野~プチペンションやすらぎさんまでの行程で、札所はない。焼山寺以降はどれくらい歩けるか分からなかったので、当初の計画立案時から、通常のペースより距離は刻んでいる。本来なら人によって20キロ~30キロは歩くらしい。
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足は相変わらず痛くて、一人だとやはり自分に甘くなり、各ポイントの到着は予定時刻より大幅に遅れていた。焼山寺から杖杉庵までの下り鍋岩から玉ヶ峠(タマガタオ)までの上りはいずれも厳しい道のりだった。
 
  
杖杉庵
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杖杉庵を過ぎて18分後の道。きれいに石が置かれて歩きやすそうに見えるが傾斜がきつかったかも。(画像のプロパティを確認すると撮影日時が2016/4/21 20:54となっている。デジカメの設定時刻が、本来より12時間前になっていたことに2週間以上経ってから気づいた。よってこの画像を撮影した時刻は朝の9時ごろ)
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焼山寺への道標。こういう道標があるだけでホッとする。

玉ヶ峠(タマガタオ)からペンションまではずっと舗装路を歩く。なので通常なら歩きやすいはずだが、下りはつま先が痛くてまっすぐ前を向いて歩けない。反対向き=後ろ向きに歩いてみた。早くは歩けないが前向きよりも楽かも、と車が来ないのをいいことにたまに振り返って確認しながら、しばらく後ろ向きに歩いた

これが時間がかかった。玉ヶ峠のお堂の清掃に来ていらしてた老夫婦(お堂で挨拶した)が、途中3度も私の横を車で通った。しまいには「こんなに時間がかかるほど痛いなら、旅館に電話すれば迎えに来てくれるらしいですよ」と言ってくださった。私はもう少し頑張ってみます、とお礼を言ってそのまま反対歩きを続けた。そしてやっと神山町の遍路小屋へ到着。

下が神山町の遍路小屋。見晴らしが良い場所にあって、はっさくのお接待があった。もちろん、1個いただく。さっぱりとして甘すぎず、疲労回復に役立だった。周りは段々のすだち畑で、蕾がいっぱい着いていた。遍路小屋の管理は地元のボランティアの方々によるもの。トイレもこの下にあって、志納金を入れるようになっていた。ありがたいのでもちろん100円入れた。
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お接待のはっさく。横にはノートがあったのでお礼の言葉を書き込んだ。
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このあと、6巡拝目で逆打ちというミスターにあった。私は人を見る目がないので分からないが、年のころは50歳代?かしら。もちろん最初は6巡目の先達さんとは知らないから、挨拶してすぐに「神山町の遍路小屋はきれいでしたよ」なんて言っちゃった。その後「通し打ち?今日はどこ泊まるの?」とか、お遍路さんに会うと聞くお決まりになった話をした。

最後に、私は顔をゆがめて「足が痛くてェ・・・」とそのミスターに泣き言を言ったら、「1週間もすりゃ治るよ。治るころには帰るんだねぇ~」とも言われちゃった。私は「えぇっ?(1週間で)治るんですかっ??」と、もうそろそろ治るという事に驚いて叫んでた。でもそのミスターは地図をみて、宿(プチペンションやすらぎさん)までの道は「こっちの道を通った方が高低差が無くて良いよ」と教えてくれた。あーありがたや。先達さん、ありがとう!

  
  
鍋岩の少し前。こんな岩がごろごろ。崖の落石注意だけではなく足元も岩が多いのでつまづいたり、転んだりしないように注意しながら歩いた。
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鍋岩付近の橋から滝をのぞむ。
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鍋岩を過ぎるとふたたび険しい山道になる。ここがその入り口で湧き水を補給した。こういうお水は飲んだことが無かったのでお腹壊すかな?、と思ったが大丈夫だった。
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玉ヶ峠のお堂。清掃をされているご夫婦に挨拶して写真を撮らせていただく。ここからの道はすべて舗装路。
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ここで大サービス。タイマー使ってコンデジで自撮りの画像を披露。ピンボケでちょうどいいでしょ。お天気も良く、背景は新緑の綺麗な山並みだった。・・のに、あんま良く写ってないわ。
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地元の材木屋さんの外の水道。お遍路さん使ってもいいですと札がかかっていた。ありがとうございます。ところどころに黒いホースが見えていたので、多分このあたりの上水道は山の湧水を引いていると思われるが。。。本当の事は分からない。
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だいぶ降りてきていると思ったが、まだまだ標高は高いのか。景色は抜群。
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井の谷というバス停過ぎてだいぶ経ったところだと思う。川まで下りてきたんだから谷だろう。地図では、県道がポコッと半円を描くように曲がっているところ辺りで、川の写真を撮っていた。このあと、車に乗せてもらうというお接待を受けた。
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6巡目の先達ミスターに平坦な道を教えていただいたあと、地図を見ると、確かに遍路道となっている道は駒坂峠という山越えになっている。70mほどの標高差を上り下りするだけだが、やはり平坦な方がいいと少し遠回りの県道を歩いた。すこーし足を引きずっていたと思う。県道は数分に1-2台と、意外に車がたくさん通った。すると、一台の車のおじさんが声をかけてきた。「どこまで行くの?お接待で載せてあげましょうか?」と言われた。私は一瞬躊躇したが、、、一瞬だけ。「じゃ、載せていただこうかしら」と返答した。

その方はせっかくだからと、別格の童学寺(弘法大師が幼少期に勉強したお寺)へも連れて行ってくれた。私より7歳上ということだったが、どうも地元建設会社の親方さんか社長さんのような感じだった。最後には宿のプチペンションやすらぎさんまで送り届けてもらった。本当にありがとうございました。

宿に着いてからも、こんなこと(車に乗せてもらうお接待)本当にあるんだな~と一人感心していた。そしてしばらく経って、お名前や住所など何も聞いてなかったと後悔。お礼状ぐらい差し上げたかったわ。時間までさいて童学寺にまで連れて行っていただいたというのに。気が付くのが遅くて申し訳ありません。<(_ _)>おじさんに幸多かれと祈っておきました。

もちろん私は初めての車のお接待でいっぱいいっぱいだった。写真しか撮らなかったのが非常に申し訳なかった。本当にありがとうございました。あの時の童学寺のフジの花、とてもきれいでしたね。その花と一緒におじさんの事は忘れませんよ。(*^_^*)

下が車のお接待してくださったミスター。私より7歳上の社長さん風な方だった。
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あれっ、童学寺の本堂撮ってなかったみたい。1000円入れて、瓦の葺き替えの寄進もした。マジックで瓦の裏に住所名前を書いたけど、あの瓦を本当に使うのかしら。。。
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プチペンションやすらぎさんの部屋。ユニットバス含めて6畳くらいあるかも。Wi-fiも使える。
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やすらぎさんの夕食。野菜なしって珍しい。手作りハンバーグ?にカレイの煮つけ、中華風たれのつけうどん、どれも美味しかった。
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やすらぎさんの朝食。わらびの卵とじ(中央)あり。私は歩き遍路なので勧められなかったが、このワラビの茹でたのを「採れたてだから」と、車で来ている隣のお客さんにさりげなく勧めてた。
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そして最後に一言付け加えねば。

今日は車のお接待を受けたことを話したら宿のオーナーさんに「歩き遍路の人は車に載せたらいかん。それに、あんたみたいな女の人は載せてもらわん方がええよ。遍路も裏と表があるからね」と忠告を受けた。「はい、分かりました」ありがとうございます。