古土でボカシ肥え

春に咲いた草花も真夏の今となっては見る影もない。多年草でコンテナ栽培していたカラフトハナシノブも、やっぱり夏越しできなかった。こういった夏に弱い多年草も、タネがとれればラッキー。春から初夏咲きの一年草もとっくに終わって、茶枯れたコンテナはさびしい限り。暑い暑いといってる間にもう明日は9月。そろそろタネ蒔きの準備もしなきゃ。そして空いたコンテナの整理、鉢洗いなど。涼しいときを見計らってどんどん進める。

数年前からコンテナ栽培に使った古土は、ボカシ肥えにしている。油粕を使ったボカシ肥えだと、醗酵は早いが窒素成分が強い。私は以前から、米糠と少しの油粕をボカシ肥え作りに使っている。ボカシ肥えとは、土に油粕などの有機質肥料を付着させ、肥料効果をぼかして使うことからこのように呼ばれる。要するに、土に油粕や米糠などを混ぜるだけだ。時によって骨粉など、その他肥料を混ぜることもある。

■ボカシ肥えの作り方(自己流だよ~♪)

  • 古土を全部集めて、シートや攪拌ができる大きな容器にあける。
  • そこに米糠を好きなだけと、油粕を少量投入。
  • 米糠はそれほど肥料成分が多くないので、古土の量が米糠に比べて少なくてもかまわない。
  • 後はジョウロで水を加え、良くかき混ぜて空気を含ませる。

健全な醗酵のために一番肝心なことは水分調整。ジョウロで水をかけながら混ぜ、手で一掴みぎゅっと握ってから手を開き、それをつつくと軽く崩れるほどに水分調整する。醗酵がうまくいかなかった場合は腐敗となり、肥料成分はガスとなって蒸発したり、悪い菌ばかりが繁殖して、肥料としての効果は期待できなくなる。

水分を加えてから夏場なら2-3日で醗酵臭がし、温度が上がってくる。冬場なら一週間から二週間かかる。醗酵中はあまり高温でも低温でもいけない。だいたい50-60度で数日間醗酵させる。醗酵中の温度が高すぎたり低すぎると思ったら、即座に温度調整する。醗酵温度をもっと低くしたいと思ったら、良くスコップなどで攪拌し空気を入れてやったり、山のように積まないで平たく薄くのばしてやればよい。また温度が足りないと思ったら、水分を加えて良く攪拌し山積みしておく。このようにしながら適温の50-60度を数日間保つと完成する。この間、毎日1回は良くかき混ぜ、雨などにあてないこと。

完成後は平たく伸ばし、自然に醗酵熱で乾燥させ、水分を飛ばしてから袋詰めしておく。こうすれば、堆肥代わりにいつでも使うことが出来る。使い方としては、全体にばら撒いて土と良く攪拌するよりは、集中投入とでも言おうか、苗などを植えつける場所の下深くや、苗の周りに一握りづつ何箇所かに施すと、肥料成分が有効に効くらしい。私自身はこのことを実感したことがないが。

ボカシ肥え作りのとき、土に対して投入する米糠の量には適量というものがあるだろうが、実際は、夏場の米糠はすぐに虫がついてしまうので、さっさと使い切ってしまわなければならない。玄米30キロが入る大袋に一杯(250円)の米糠は、私の場合とりあえず、あるだけの古土と混ぜきってしまう。それは肥料効果を期待しているというより、ぬか漬け用に買った余剰米糠の処理と、古土の処理を兼ねている

土の割合に比べ米糠が多ければ、それだけ肥料効果が高くなるので、肥料として使うときには少量を投入すればよいことになる。米糠の肥料成分は燐酸分が多く、窒素分が少ないので、ボカシ肥えにしたらもっと肥料成分は薄くなるだろうから、私は安心して堆肥のように使っている。古土再生にはお奨めだ。

本来のボカシ肥えは、土に油粕を付着させて醗酵させるが、油粕は窒素含有量が非常に高いので、このようにぼかして使うことで肥料負けの心配なく安全に使える。また家庭園芸ではたくさんの油粕を買っても、使い切れないことが多いが、このように一度ボカシ肥えを作っておけばいつでも使うことが出来る。また骨粉なども混ぜることで、燐酸やカリ肥料も補える。

しかし大変なのはニオイだ。(~_~;) 醗酵臭をしばらく辛抱しなければならない。米糠なら、ぬか漬けのようなニオイだからそれほど苦にならないが、油粕の場合は相当強烈なアンモニア臭となる。住宅密集地ではお奨めできない。どうしてもというなら、米糠を使用するか、油粕なら冬場にやるしかない。

下左の写真が、米糠を古土に混ぜて1日経過したところ。温度は40度くらいになっている。右はアップ。古土から根っこなどは取り去ったが、鉢底石として使っていた軽石などはそのまま混ぜてしまった。ある程度の温度になるので、殺菌効果も期待している。

DSCN4756.jpgDSCN4757.jpg

この画像は醗酵三日目の朝。ビニールシートで覆っていた部分だけ、白い菌糸がはびこっていた。どうやら成功した。この調子で数日間、全体に菌糸がはびこるまで醗酵させる。昨日からぬか漬けのいいニオイがする。温度が高いので、ハエなども卵を産み付けることは出来ない。砂粒のように見える細かい粒子は糠そのもの。

DSCN4767.jpg