Geranium phaeum ‘Samobor’

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Geranium phaeum ‘Samobor’ ゲラニウム ファエウム ‘サンボー’  自家採取
播種:04.09.27 発芽:04.11.03(1芽) 地植え:05.06.08 
残り種子発芽分ポット上げ:05.6.18(1芽) 地植え:05.07月ごろ
ゲラニウム ファエウム ‘サンボー’の実生か株分け株で、本来の黒花(一番上の写真)が、我が家では初めて咲いた。あぁよかった。この黒花もほしかったから、タネを買おうかと思案していたところだった。先祖帰りなのかな。
この黒赤の株↑は、良く調べたら 2004.09.27 に蒔いた実生株だった。どうしてこれだけ、別の場所に植えてあるのか考えあぐねていたのだが、去年地植えするときに忘れると悪いので、後から地植えした株分け株はわざわざ別の場所にしたんだった。

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そしてこの実生株の一つが、どうやら蕾の色が薄いラベンダーのような色↑のものが咲いてきた。開花したら白っぽい花だ。良く観察すれば、葉色が微妙に違っていることに気づいた。本来、ファエウム種の‘サンボー’という園芸品種(暗紫色花)の葉は黒斑が入る(写真下左)が、黒赤色の花が咲いた株にも黒斑が入っている。しかし、若干ではあるが、黒赤色花のほうが葉色が薄く、黒斑の量も少ない(写真下右)のだ。そしてラベンダーの花が咲きそうな株には、斑が全く入っておらず、明るい黄緑色の葉↑だ。

http://seedsman.jp/blog/jpg/2006/04/geranium_phaeum5-thumb.jpghttp://seedsman.jp/blog/jpg/2006/04/geranium_phaeum4-thumb.jpg

↑左 Geranium phaeum ‘Samobor’  ↑右 Geranium phaeum 実生 黒赤花

Geranium phaeum ‘Samobor’ Its true history.
Geranium phaeum ‘Samobor’ は、イギリス、ケント州の Washfield Nursery の Elizabeth Strangman により、1990年に野生で採集された Geranium phaeum のフォーム(野生種)である。それはクロアチアでHelleborus atrorubens と一緒に自生していたところを見つけられ、イギリスに持ち帰った二つの苗のうちの一つで、より人目につくことから名付け られた。
この著者の庭では隔離栽培されているが、‘サンボー’の実生株は親株にほぼ忠実のようだ。しかしブロッチの大きさが僅かに違っていることがある。このブロッチの葉で白花は、ありそうだが無い。しかし、より薄い藤色の花にブロッチの葉が出現することはあるかもしれない。

‘サンボー’の由来が書いてあったサイトを要約すると、上記のようになるが、もっと詳しく知りたい人は、リンクをクリックして英文を読みに行ってね。『より人目につくことから名付けられた』って、分かりにくい表現ね。差別用語となるから婉曲に表現しているのだろうか。そのページの最後の方に書いてあったけど、実生植物には、その園芸名をつけるべきではない そうだ。

そんなこと、初めて知ったわ。そういえば、Secret Seeds のホームページでは園芸品種名のついている植物全て、このように記載している。ex というのは、ラテン語で『~から』という意味。

Francoa sonchifolia ex ‘Rogerson’s Form’
Lychnis coronaria ex ‘Hutchison’s Cream’
Dianthus japonicus ex ‘Alba’
Viola sororia ex ‘Freckles’
Erythronium californicum ex ‘White Beauty’
Hypericum androsaemum ex ‘Albury Purple’

話が横道にそれたので戻すが、実生でも藤色の花や白の花が咲くことがある、と示唆している。しかし、白花の場合は葉の黒斑が出現しないということだ。うちのラベンダー色の蕾のも、このサンボーの実生で間違いないわ。でも葉には黒斑が入っていない。惜しいなぁ。えっと、、、どうせなら、ラベンダーの方がいいんですけど。

そして、我慢できなくて買ってしまったファエウム白花の苗は、最初から斑はない。基本種のファエウムは斑がないのか知らないのでネットで検索したが、無いものが多いようだ。斑が入っているものもたまにある。そしてタネの販売サイトでは、『斑が入ることもある』、などと書いてあった。結局、図鑑で調べる。RHSの図鑑によると『ファエウム種は葉は浅裂し、柔らかい緑色』、と書いてあった。じゃ、斑は無いんだろうね。

そういえば去年も‘サンボー’のタネを蒔いて、一株だが育っている。現在のところ蕾は見つけられないが、このように違う花色が出現する可能性があると思うと、ワクワクする。こんなことが、タネ蒔きの楽しみだね。

しかし、二年連続でたくさんの‘サンボー’のタネを蒔いているというのに、発芽率は良くない。毎回20-30粒は蒔いたと思うが、04年にはこの2芽、05年にはたった1芽しか発芽しなかった。良く分からないが、自家受粉なので稔性が低いということだろうか。そこで自家受粉と他家受粉について検索した。

以下は、筑波大学生物学類ホームページ Botany WEB 様の【自家受粉と他家受粉】より転載させていただいております。お断りもしてないんですが、個人ホームページで商用サイトではありませんので、ご容赦いただけると思います。いつも参考にさせていただくサイトが急に消えてしまうと困るので、勝手にコピーさせて頂きました。パソコンの前に居ながらにして、こんなに勉強できるなんて、本当にありがたいことです。筑波の方に足を向けて寝られません。感謝。

自家受粉と他家受粉self pollination & cross pollination
花の送粉・受粉には自家受粉、他家受粉および送粉失敗の三通りがあり得る。自家受粉とは花粉が同じ花の柱頭につくことであり、他家受粉とは花粉が他の花の柱頭につくことである。自家受粉と他家受粉はそれぞれ表裏の関係のメリット、デメリットがあり、植物は種によってこれを使い分けている。

自家受粉(self pollination)(自家交配)

有利な点:送粉の確実性が格段に高くなる。特に後述の自家受粉専用の機構をもっている花では確実性が高い。その分、花粉の生産量が少なくてすむ。またどのような送粉方法にせよ(虫媒、風媒など)、他家受粉を行うにはそのための構造(鮮やかな花弁や蜜)が必要になるが、自家受粉ではそれに対するコストを抑えることができる。
不利な点:自家交配は遺伝的組合せの多様性の低下をもたらす。このことは種としての適応度の低下を意味し、種の存続の危機につながることもある。また生物の交配には一般に近交弱勢(inbreeding depression)があるこが知られており、自家交配は有害遺伝子のホモ化、生存力の低下をもたらすことが多い。さらに送粉は自らの遺伝子を広げる数少ない機会の1つであり(もう1つは種子散布)、それを自らつみ取ってしまうことになる。

他家受粉(cross pollination)(他家交配)
有利な点:他家交配は、当然のことながら遺伝子の組合せのバリエーションが広がることを意味する。このことは種としての適応度の増大につながる。また近交弱勢を防ぐことにもなる。さらに花粉を他の花に渡すことは自らの遺伝子の拡散につながる。
不利な点:送粉の確実性が低い。どのような送粉方法にせよ、送粉に失敗する花粉(落下、他種の花につくなど)が多くあるので、多量の花粉をつくらねばならない。特に送粉失敗が多い風媒花では顕著である。また動物媒では動物を引き寄せる花弁や蜜、匂いなどの余分な投資が必要になる。
花は種によって自家交配か他家交配のどちらかの交配を主とするが、一方だけに特化しているものはあまり多くない。一年草は生育期間が1年と短いため、確実性を重視して自家交配を主としているものが多い。また帰化植物も、最初は少数個体での繁殖が必要になるため自家交配をするものが多い。多年草はより複雑で、自家交配を主にするもの、他家交配を主にするもの、他家交配のみをするものなどがある。また木本では他家交配をするものが多いといわれる。

自家受粉を避ける仕組み
被子植物ではふつう雌雄両性が同じ花に同居しているため、自家受粉が起こりやすいように思われるが、実際には以下のようなさまざまな方法で自家交配を避けていることが多い。

自家不和合性(self incompatibility)
同じ花(株)の花粉が柱頭についても、花粉管の発芽、伸張、受精が生理的に妨げられる仕組みのことを自家不和合性という。

雌雄異熟(dichogamy)
雄しべが花粉を放出する時期(雄期:male stage)と雌しべが成熟して柱頭が受粉可能になる時期(雌期:female stage)が時間的にずれている。キキョウ(キキョウ科)など雄期が先行するものを雄性先熟(protandry)、オオバコ(オオバコ科)など雌期が先行するものを雌性先熟(protgyny)という。

雌雄離熟(herkogamy)
両性花の中で葯の位置と柱頭の位置が空間的に離れているもの。特に同種内で雄しべが長く雌しべが短い花と雄しべが短く雌しべが長い花のように複数の型が見られるものがあり、異花柱性(heterostyly)とよばれる。異花柱性にはサクラソウ(サクラソウ科)のように2型が見られる二型花柱性(distyly)とミソハギ(ミソハギ科)のように3型が存在する三型花柱性(tristyly)がある。

雌雄異花
雄しべのみが発達する花(雄花)と雌しべのみが発達する花(雌花)が存在する。同じ株に雄花と雌花がつくもの(雌雄同株 monoecism)では自家交配を完全に避けることはできないが、雄花と雌花が異なる株につく(雌雄異株 dioecism)種では完全に他家交配しか起こらない。
花が散発的に咲く
1つの株に花がいっぺんに多数の花をつけないで、散発的に花をつけることによっても自家交配をある程度避けることができる。

自家交配をする花
自動同花送粉する開放花
自動同花送粉をする花では、タネツケバナ(アブラナ科)やハコベ(ナデシコ科)のように葯と柱頭が接していて葯から出た花粉が直接柱頭につくものが多い。またオオイヌノフグリ(ゴマノハグサ科)やツユクサ(ツユクサ科)のように開花時には葯と柱頭が離れていても、閉花時などに葯や柱頭が動いて互いに接するようになるものもある。ただしこれら自動同花受粉する花も目立つ花弁、蜜、匂いなどを残しており、他家交配の余地を残しているものが多い。

閉鎖花(cleistgamous flower)
つぼみのままで開花せず、自動同花送粉に特化した花を閉鎖花という。閉鎖花では花弁の発生が途中で止まり、開放花にくらべて雄しべや花粉も少ない。閉鎖花はスミレ(スミレ科)、ツリフネソウ(ツリフネソウ科)、ホトケノザ(シソ科)、センボンヤリ(キク科)などに見られるが、開放花と閉鎖花を時間的・空間的に使い分けていることが多い。

無融合生殖
受精を行わずに配偶体から新しい胞子体ができる生殖法を無融合生殖(apomixis)という。特に種子植物に見られる以下の生殖では受精を伴わない種子生成のため、無融合種子形成(agamospermy)とよばれる。

配偶体無融合生殖(gametophytic apomixis)
親の体細胞と同一の核相をもつ胚嚢から胚がつくられる生殖。胚珠内の倍数性の大胞子からそのまま胚嚢つくられるものを複相胞子生殖(diplospory, aneuspory)とよび、セイヨウタンポポ、ニガナ、ヒメジョオン(キク科)などに見られる。一方、大胞子を経ないで倍数性の珠心や内珠皮、胚嚢母細胞から倍数性の胚嚢がつくられるものを無胞子生殖(apospory)とよび、ヤナギタンポポ(キク科)やノガリヤス(イネ科)、アカソ(イラクサ科)見られる。

不定胚形成(adventitious embryony)
胚嚢を経ないで珠心や内珠皮の一部から胚がつくられる生殖。グレープフルーツ(ミカン科)などが例とされる。


Comments

“Geranium phaeum ‘Samobor’” への3件のフィードバック

  1. こんにちは!primroseさん。
    サンボー咲きましたね!(*^^)v
    何とも言えない程良い色合いだわ~、黒赤花。
    去年、苗で送って頂いた中にサンボーですが、開花は来年と仰ってたけど、、、
    実は蕾があるんですよ!!!!!\(~o~)/
    どうでしょうね? どちらの色が出るでしょうね。
    楽しみが増えましたよ。

    プリムラ ブルーカウチン も3個開花しています。
    ベロニカも以前教えて貰ったように切り揃えていましたので、いっせいに穂が咲き揃いました。
    一昨年のイベリスも大株になって真っ白でとても綺麗です。
    近日中にド~~~ンとUPしますね。
    もう、嬉しい毎日ですよ~。 :laugh:

  2. primroseのアバター
    primrose

    うさぎさん、こんにちは。お送りしたサンボーは株分けしたものです。だから暗紫色のはずですが。なかなか良い色だと思いますよ。黒赤の方は良く見かけますが、暗紫のファエウムはあまり見かけないでしょ。とにかく、どれも無事に開花させられて、さすがですね~。

    プリムラ・ブルーカウチンはどんな目の色でしたか。見せてくださいね。私は開花して盛りを過ぎたものは、もう地植えしちゃった。 😉  

    置き場所も植え場所も無い無いといいながら、つぎつぎタネを蒔いちゃって、大事にしてあげられないので、いっそ地植えに。夏は他の植物で日陰になってくれるように工夫しようと思います。

    私もうさぎさんにもらった、ハートとうがらしと緑のワタを蒔きたいのですが、毎日寒いので様子を見ています。もう連休で5月になるというのに、今年は寒すぎますよね。

  3. Geranium phaeum ‘Samobor’

    学 名Geranium phaeum ‘Samobor’ ゲラニウム ファエウ…